地震対策の強化について

 広島ガスでは従来から都市ガス事業の使命であるガスの安定供給と保安確保に取り組んでおります。
 また、1995年1月に発生した阪神大震災を契機に、地震発生前の予防保安・事後対策として、災害に強いポリエチレン管の採用や、マイコンメーターの普及促進を図ってまいりました。さらに、地震が発生した際の復旧支援として、移動式ガス発生設備の購入等、追加的な施策について検討、強化してまいりました。
 このたび中央監視制御室の整備にあわせ、供給区域のブロック化や衛星波を導入するなどの地震対策が完了し、下記のとおり管理レベルが一段と向上いたしましたことをご報告いたします。

1. 中央監視制御室の概要
(1) 圧力等遠隔監視制御システム
1) システム概要
工場、供給所、主要な整圧所など遠隔地のデータ(圧力、送出流量、ガス漏れの有無、地震の大きさ、停電等)を常時監視し安定供給を維持するためのシステム。大規模地震等の災害発生時には、基地から必要な制御をすることで、二次災害防止のための迅速な対策を講じることができます。

2) 主な改善箇所
改善内容 新設備 旧設備
即時供給停止ブロック
の形成とバルブの制御
必要な整圧所のバルブが遠隔制御可能になったため、対象ブロックの即時供給停止が可能。 一部のブロックのみ
遠隔操作可能
衛星波の導入とデータ
の一元管理
全エリアの送出管理が可能。衛生波は中継局を介しないため災害に強い。また、収集した日常のデータを今後の幹線計画に反映する。 尾道地区のデータは
尾道支社で分散管理
地震計の増強 6ヶ所追加により合計17ヶ所に。地震計の精度を向上することでSI値(カイン)の誤差が5%以内に改善。 全11ヶ所でSI値の誤差
が20%以内。
警報発生時の補強 警報発生時に音声にて通知し注意を促す。 ブザーのみの警報


3) ブロック形成について
 地震発生時には二次災害の防止に加えて供給停止戸数の最小化を図る必要があります。地震発生後、遠隔操作で整圧所のバルブを閉止し、被害地域にあたるブロックの導管網を速やかに切り離す(バルブを閉止)ことにより、その地域だけガス供給を停止し、加えて被害のない地域に対する供給は継続することができます。

A.即時供給停止ブロック(遠隔操作可能)
形成基準 あらかじめ定めた地震計のSI値が60カイン以上を記録した場合
製造所・整圧所の圧力が大変動した場合、のいずれか
ブロック数 広島地区:6、呉地区:2、尾道・三原地区:1 合計9ブロック

B.緊急措置ブロック(手動)
形成基準 地震計のSI値が30カイン以上60カイン未満の場合
被害が甚大であると容易に想定できる場合
ガス漏れが多発し緊急対応能力を超える恐れのある場合、のいずれか
ブロック数 広島地区:10、呉地区:3、尾道・三原地区:2 合計15ブロック

C.その他ブロック形成
即時供給停止ブロックや緊急措置ブロック形成を必要とする被害には至らないものの、復旧ブロックを拡大・縮小して一時供給停止を行う
(2) 勤務体制:24時間体制で2名常駐(3交替制)
(3) 投資金額(システム更新費用):290,000千円

2. 今後の課題
お客さまに対する保安サービスの向上を図るため、新保安指令システムの自社開発および導入を進めております。
(1) システム概要
通報のあったお客さまの電話番号から顧客情報を自動検索し、受付内容を現場車両にモバイル送信する。基幹システムの情報を共有化することにより、現場においても導管・住宅地図、ガス管竣工図等の様々な情報を閲覧することができる。
(2) 目的・目標
1) CS向上 対応の迅速化、現場での保安レベル向上
2) 保安品質の向上 情報の共有化による現場・指令間の連携が強化
3) 業務の効率化 伝票記入・登録等の事務作業が軽減され、指令・現場間の連絡が簡易化
4) 技術力の向上 システムを自社が主幹となり開発を行うことで技術力のアップ、開発コストの削減が見込める
(3)スケジュール 14年度より開発開始、15年度より運用開始予定
(4)開発費用 約30,000千円


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広島ガス株式会社
HIROSHIMA GAS Co.,Ltd