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 5 みのりの色「こげ茶」

★海も川も山もそして大地も、すべてがみのりの時期を迎えています。私たちは自然からの産物を生命体として生きているのだと、ごく当たり前のことに強い感謝の念を持つ季節でもあると思います。
★その秋の色となると、収穫のイメージから黄金色を連想する人が多いかもしれませんが、私はどうしても、ほこほことした人肌に近い暖かさを持ち、よく肥えた土の色を挙げてみたいのです。豊かな土壌は、肉体ばかりか精神にまでも大きな影響を及ぼしていることは、誰しもが分かっていることだと思います。よく肥えた土は茶色というより、こげ茶といったほうがあてはまるようです。
★木や葉っぱ、水、生き物たちの生命を吸収しながら色を刻々と変えて行く。黒く深さを増した土色となって、新しい芽を生み出す母体へと回っていく、自然の摂理をいとおしいものと思えてなりません。
★そもそも茶色という色名の由来は、日本においては平安時代に中国からお茶が伝わり、上流階級のものとされていたのが、江戸時代になって庶民に普及し、その副産物として煎汁による茶染めの染め色がはじまりといわれています。江戸時代の大衆芸能は歌舞伎です。花形役者はその時代の超有名人であり、役者のまとう衣装や屋号の色は、流行色になったといわれています。芝翫茶、団十郎茶、少し緑がかった梅幸茶などは、語り継がれ、今も立派な色の名前です。江戸時代の文化の色は、社会全般を反映して茶系統といってもよいでしょう。
「土」に帰る 
★人も動物も植物も茶系統の色を多く備えています。言いかえると「茶色」とは、もっとも自然であり、日常的な色といえるのです。「土に帰る」という言葉は自然に帰る、元に戻るといった意味なのでしょう。つまり、「転生」という観点で捉えると、私たちの肉体は次の世代の栄養素であり、「野垂れ死に」の持つ意味も理にかなっている、と私には思えるのです。

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