1.平成30~32年度 中期経営計画
(1)基本方針
日本経済は、経済政策および金融政策の効果もあり、緩やかな回復基調が続いてきました。世界経済についても、米国をはじめとして着実な回復が見込まれておりますが、一方で、金融資本市場の変動や地政学的リスクの影響により、我が国の景気が下押しされるリスクも抱えております。
エネルギー業界においては、ガス・電力市場の全面自由化に伴って、ガス・電力市場への新規参入の動きが高まることによりエネルギー間競争が一層激化するなど、我が国のエネルギー市場は、大変革の時代を迎えております。
一方で、エネルギー基本計画において、天然ガスは「その役割を拡大していく重要なエネルギー源」と位置付けられており、ガス体エネルギーの普及拡大やエネルギーの高度利用を通じて、省エネ・省CO2およびエネルギーの分散化に貢献していくことは、当社グループに課せられた使命であると考えております。
このような状況のもと、当社は、平成21年10月末に策定した2020年に向けたグループ経営ビジョン「Action for Dream 2020」(以下、「ビジョン」という。) の具現化をめざし、諸施策を実行してまいりました。
平成30年度中期経営計画では、エネルギー市場の自由化等の環境変化を好機と捉え、ガス体エネルギーの普及拡大を図り、事業効率を高めるとともに、事業環境の変化を活かした新たな事業展開の検討を推進し、持続的に発展していく企業グループをめざしてまいります。
~エネルギー市場の自由化等の環境変化を好機ととらえ、
2020年ビジョンの実現および次期ビジョンの策定を見据え、
持続的に発展していく企業グループをめざす~
- 経営方針1:
- ガス体エネルギー(天然ガス・LPガス)の普及拡大、エネルギーの高度利用を通じ、省エネ・省CO2およびエネルギーセキュリティの向上に貢献します。
- 既存供給区域内の深耕のみならず、周辺地区を中心とした供給区域外を含めた広域圏の需要開発を推進し、ガス販売量の維持・増量を図る。
- 都市ガスとLPガスの連携を強化し、効率的な営業活動を展開していくとともに、お客さま接点業務の充実を図る。
- 天然ガスの普及拡大および供給安定性の向上に資するインフラ整備について、中長期的な視点で設備形成を行う。
- 経営方針2:
- お客さま目線でのサービスのあり方を追求するとともに、環境にやさしく、安心・安全で快適な暮らしを創造し、お客さま価値の向上を図ります。
- 電気や熱を含めたマルチエネルギー供給、再生可能エネルギーの普及拡大、エネルギー供給周辺業務を基軸としたサービスの充実、シェアの維持拡大に資する料金メニューの構築により、お客さま価値、エネルギーシェアを向上する。
- 新たなサービス内容とワンランク上のサービス品質のご提供により、さらなるお客さま満足度の向上を実現する。
- エネルギーの安定供給、保安レベルの維持・向上など、エネルギー供給を担う企業グループとしての役割を確実に遂行する。地震・津波・防災対策については、国・自治体の防災対策との連携も視野に入れた効果的な施策を、優先度を勘案して実施する。
- 経営方針3:
- エネルギー市場自由化に対し適切な対応を図り、新たな事業展開を検討・実施します。
- 小売全面自由化に対応した料金・サービス等の営業施策や「このまち思い」をコンセプトとした新サービスを検討・実施する。
- 既存事業との相乗効果も視野に入れ、総合エネルギー企業としての発展に資する新たな事業展開を検討・実施する。
- 他ガス事業者等との連携強化に向けた取り組みを推進する。
- 経営方針4:
- 公正かつ透明で風通しのよい組織へ変革し、地域の好感度No.1企業グループをめざします。
- グループ経営管理やコーポレート・ガバナンスの強化を推進するとともに、健全な企業運営の推進に向け、リスク対応の強化を図る。
- コンプライアンスの推進とリスクマネジメント活動を通じ、公正かつ透明な経営の確保に努める。
- 人権啓発活動、コミュニケーションの強化等による働きやすい職場環境づくり、組織の活性化を推進する。
- 経営方針5:
- 従業員の能力・やりがいを高め、グループの成長を担う人材の育成を推進します。
- 生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの実現に向けた働き方改革を推進する。
- 人材育成・開発、モチベーション向上策等により、人材・組織の活性化を図る。
- 現場力の強化、専門性の高い人材の育成、技術・技能伝承を推進する。
- 経営方針6:
- グループ全体の収益性と健全性を高め、強靭な企業グループを構築するとともに、持続的な発展をめざします。
- 当社グループが将来にわたり成長へとつながる事業領域の再検討と構造改革を推進する。
- グループ間の相乗効果を最大限活用してビジョン実現に向けた諸施策を推進する。
- 経営資源の効率的かつ効果的な活用と弾力的な財務戦略を実施する。
(2)ガス需給計画(単位:45MJ、百万m3)
H29年度 (見込) |
H30年度 | H31年度 | H32年度 | 3年間 平均伸び率 |
|||
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お客さま戸数 (年度末) |
410千戸 | 410千戸 | 410千戸 | 410千戸 | 0.0% | ||
ガス 販売量 (百万m3) |
家庭用 | 102 | 102 | 102 | 103 | 0.3% | |
業 務 用 |
商業用 | 45 | 46 | 46 | 46 | 0.7% | |
工業用 | 259 | 317 | 331 | 346 | 9.2% | ||
その他 | 38 | 39 | 39 | 39 | 0.9% | ||
合計(卸供給等除く) | 445 | 505 | 520 | 535 | 6.0% | ||
卸供給等 | 54 | 75 | 81 | 86 | 14.4% | ||
総合計 | 500 | 581 | 602 | 622 | 7.0% |
H29年度 (見込) |
H30年度 | H31年度 | H32年度 | 3年間合計 (H30~H32年度) |
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---|---|---|---|---|---|
製造設備 | 6億円 | 12億円 | 3億円 | 1億円 | 17億円 |
供給設備 | 45億円 | 57億円 | 70億円 | 62億円 | 191億円 |
業務設備等 | 18億円 | 8億円 | 6億円 | 1億円 | 17億円 |
合 計 | 70億円 | 79億円 | 81億円 | 66億円 | 226億円 |
- 1)製造供給段階保安対策の推進
- 経年本支管(白ガス管)の効果的入替えの推進
- 防災センタービルの活用をはじめとした保安体制のあり方の検討
- 2)消費段階保安対策の推進
- 消費段階での事故防止の観点による、法定点検・安全周知の強化、給排気設備の改善および安全型機器への取替活動の推進
- 業務用厨房のお客さまに対する排ガス中毒事故防止の強化
- 3)保安点検・検査活動の確実な実行と効率化
- 法定点検の確実な実行、幹線パトロールの充実
- 保安レベルの維持を前提とした効果的な設備点検・検査の実施
- 4)地震・防災対策の検討・実施
- 防災センタービルの活用による地震・災害時の防災拠点の確保および復旧活動へ速やかに移行できる体制の強化
- 供給区域の地震遮断エリアの小ブロック化の推進
(5)エネルギー市場自由化対応
ガス小売全面自由化に対する取り組みとして、お客さまの新たなニーズに対応し、選択し続けていただけるよう、料金・サービス等の営業施策を検討・実施してまいります。平成29年4月から、新たなお客さまサービス(Web会員サービス、ポイントサービス、生活関連サービス)を立ち上げました。これらのサービスを通じて、これからも選択され続けるようお客さまのご期待に応え、信頼関係を強固なものにしていくことをめざしてまいります。
さらに、既存事業との相乗効果を図るべく、発電事業をはじめとする電力事業の検討を継続し、総合エネルギー企業としての発展をめざしてまいります。
2.平成30年度事業計画はこちら→