【添付資料】
「海田バイオマス混焼発電所建設計画に係る環境影響評価準備書」の概要1.事業の概要
当社は、東日本大震災以降の電力コストの上昇や、電力小売り自由化・ガスシステム改革など、我が国のエネルギー情勢の変化に対応し、低廉で安定した電力を供給することを目的に、遊休地等を活用してバイオマス混焼発電所を建設する事業を計画している。
本事業では、海外の木質系バイオマスや林地残材等の未利用木材など、カーボンニュートラルな特性を持つバイオマス燃料を可能な限り混焼することで、再生可能エネルギーの普及拡大と低炭素社会の実現に寄与する計画としている。
2.計画の概要
(1)対象事業実施区域
広島県安芸郡海田町明神町2番118号(広島ガス株式会社海田基地敷地内)
(2)設備の概要
項目 | 内容 | |||
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発電設備 | 方式 | 汽力発電 | ||
規模 | 11.2万kW(発電端) | |||
ボイラ | 循環流動層ボイラ | |||
燃料 | バイオマス(目標混焼比率45%:熱量ベース)、 石炭、天然ガス(助燃 他) |
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冷却水 | 冷却方式 | 冷却塔 | ||
排水量 | 約3,150m3/日 | |||
環境保全対策 | 排ガス | 硫黄酸化物 | 処理方式 | 乾式炉内脱硫方式 |
排出量、濃度 | 62m3N/h以下、170ppm以下 | |||
窒素酸化物 | 処理方式 | 無触媒脱硝方式 | ||
排出量、濃度 | 60m3N/h以下、140ppm以下 | |||
ばいじん | 処理方式 | バグフィルタ | ||
排出量、濃度 | 13kg/h以下、30mg/m3N/h以下 | |||
排気筒 | 高さ | 59m | ||
二酸化炭素 | 排出量原単位 | 0.458kg−CO2/kWh (バイオマス混焼比率45%時) |
工事工程
・着 工 時 期 :平成29年(予定)
・運転開始時期:平成31年(予定)
<発電所完成予想図>
3.環境影響評価を実施した項目
環境要素の区分 | 環境要因の区分 | ||
---|---|---|---|
工事の実施 | 造成等の工事 | 水質(水の濁り)、産業廃棄物 | |
建設機械の稼働 | 窒素酸化物、粉じん等、騒音、振動 | ||
資材及び機械の運搬に用いる車両の運行 | 窒素酸化物、粉じん等、騒音、振動 | ||
発電所の運転 | 地形改変及び施設の存在 | 動物、植物、景観 | |
施設の稼働 | 排出ガス | 硫黄酸化物、窒素酸化物、浮遊粒子状物質、 温室効果ガス |
|
排水 | 水質(水の汚れ、富栄養化) | ||
機械等の稼働 | 騒音、振動 | ||
資材等の搬出入 | 窒素酸化物、粉じん等、騒音、振動 | ||
廃棄物の発生 | 産業廃棄物 |
4.主な環境保全対策および予測の結果
(1)二酸化炭素排出量について
・従来の循環流動層ボイラよりも発電効率の高い最新鋭の循環流動層ボイラを採用し、木質系バイオマス等を可能な限り高い比率で混焼することにより二酸化炭素排出原単位は0.458kg-CO2/kWhとなる。
・環境負荷の増加は、木質系バイオマス等の再生可能エネルギーを有効利用することにより低減が図られているものと考えられる。
(2)排出ガスによる大気への環境影響について
・硫黄酸化物対策として、炉内への石灰石の吹込みによる乾式炉内脱硫方式を採用する。
・窒素酸化物対策として尿素注入による無触媒脱硝方式を採用する。
・集じん装置には、燃料種の影響をほとんど受けず、集じん効率が高いバグフィルタを採用する。
・以上の環境保全措置を講じることにより、発電所の運転により排出される硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんが大気質に及ぼす影響は少ないものと考えられる。
(3)騒音、振動による環境影響について
・ボイラ等の大型機器は、可能な限り工場で組立後に海上輸送を行うことで、工事関係車両台数を低減する。
・通勤時間帯など車両が集中する時間帯における工事用資材等の搬出入は、可能な限り回避するとともに、他の時間帯においても事前調整を行い、工事用資材等の搬出入車両台数の低減を図る。
・関係車両の運行による騒音・振動レベルは要請限度を満足している。
・以上の環境保全措置を講じることにより、騒音及び振動が周辺の生活環境に及ぼす影響は少ないものと考えられる。
(4)水環境について
・施設の稼働に伴って発生するプラント排水は、新設する排水処理装置で適正な処理・管理を行い、冷却塔排水と共に既設排水溝を経由し海域に排出する。
・以上の環境保全措置を講じることにより、施設の稼働に伴う排水の水質は適正に管理されることから、周辺海域の水質に及ぼす影響は少ないものと考えられる。
(5)動物、植物による環境影響について
・調査の結果、重要な種として鳥類、両生類、昆虫類の各1種を確認した。
・工事関係者の工事区域外への不要な立ち入りを防止する等の環境保全措置の周知徹底を図るとともに、適切に履行されているかを確認する。
・以上の環境保全措置を講じることにより、発電所の存在に伴う重要な種への影響は少ないものと考えられる。
(6)その他の環境保全措置
・発電設備のレイアウトについては、高さのある設備を中央に配置することとし、低層設備を住宅地側、高層設備を海側に配置すること等により、近隣住宅地の景観に配慮する。
・発電設備の色彩は、発電所周辺景観と調和を図るため、「広島港色彩計画」を参考にボリューム感を低減する落ち着きのある色を採用する。
・工事中および発電所の運転に伴って発生する廃油、金属屑等の廃棄物や、燃焼灰等の副産物などは、可能な限り有効利用を図り、止むを得ず有効利用できないものは、法令に基づき適正に処理を行う。
工事の実施および発電所の運転が、選定した各項目に係る環境に及ぼす影響について予測及び評価した結果、実行可能な範囲内で環境影響を回避または低減しており、国および地方公共団体が定めている環境基準ならびに環境目標等の維持・達成に支障を及ぼすものではなく、本計画は適切なものであると考える。
以 上