project02 広島湾岸幹線新設工事

※内容は2017年1月現在のものです。

1「広島湾岸幹線新設工事」とは

広島ガス「2020年ビジョン」における天然ガス普及拡大の実現に向け、中長期的な設備投資計画が決定した。その一つが、「広島湾岸幹線」の整備である。この幹線は、都市ガスの将来的な需要拡大や長期安定供給の要を担うものだ。敷設場所は広島市西区商工センターから中区吉島までの総延長7,254m(Ⅰ期工事)と、広島市佐伯区から広島市西区商工センターまでの総延長1,713m(Ⅲ期工事)である。新設する導管網は、設計圧力7MPa・口径400mmの高圧幹線で、当社初となる。将来的にはメイン工場である廿日市工場と広島市内を高圧幹線で結ぶ計画で、広島の発展をエネルギー供給面から支える、重要なインフラ整備となる。

【工事全景地図】

2高圧幹線は「広島南道路」ルートに決定

「広島湾岸幹線」の施工ルートを、国・市・広島高速道路公社が新たに施工する「広島南道路」としたため、その道路施工計画に合わせて準備が進められた。Ⅰ期工事は2013年2月に着工して2016年11月に、Ⅲ期工事は2015年12月に着工して2016年12月に完成した。なお、Ⅱ期工事は中区吉島から広島市内中心部に向けて延伸するルートで、現在も検討を進めている。

3高圧幹線の工事監督への抜擢!

広島ガス(株)は、導管網の設計と現場管理を供給設備部導管建設グループの3名で担当し、工事監督には枇杷友啓郎が抜擢された。枇杷友は入社以来、導管網の維持管理から導管建設の工事監督まで、幅広い経験と知識がある。とはいえ、高圧幹線の工事監督は初めての経験だ。不安もある中、ベテランの先輩社員のサポートを得て挑戦することになった。また、現場の管工事はミルメーカーに、土木工事は関係会社に依頼した。工事を安全・確実に進めるためには、各社との信頼関係が欠かせない。日頃から綿密な連絡や打ち合せの機会を増やすなど、意思疎通の向上を心がけた。

4多様な施工方法に挑戦

施工箇所は道路埋設部だけではなく、川の多い広島では、河川をどうやって渡すか、また、同ルートで設置工事を進める電力会社や水道局等との共同埋設箇所も検討しなくてはならない。事前調査や設計段階から困難の連続で、関係各社との調整にはかなりの時間を要した。道路埋設部以外にも、河川部推進工事4か所、橋梁添架管工事3か所、共同構内工事2か所、シールド工事1か所など、さまざまな施工方法となった。

また、高圧幹線工事は、仕様書確認、材料検査、施工管理などは通常のガス工事以上に基準が厳しい。計画段階から工事着工後も、承認事項の対応に追われた。

湾岸幹線Ⅰ期とIII期の地図
  • 1埋設位置決定のため試掘を繰り返し行い、広島県・広島市・他埋設事業者などの立会のもと管路を決定。
  • 2湾岸幹線Ⅰ期スタート部分。長さ12mのパイプ2本を地上で溶接し、掘削溝に吊り降ろして埋設。パイプ2本で重さ約2.5tに!
  • 3幅が比較的狭い河川は推進工法で横断。クレーンで吊っている掘削用刃先で直径3m深さ13.5mの円筒形の立坑を両岸に掘削する。
  • 4橋梁への添架管などパイプが露出する部分は、昼夜の温度差でパイプが伸縮するため、写真のループ管で6cmの伸縮を吸収する。
  • 5江波共同溝内での配管作業。共同溝は国道の下に設置され、配管は溝内にパイプを運び溶接してつくりあげる。国土交通省の担当者との綿密な打合せで作業手順を決定する。

5工事着工後も、困難の連続

口径400mmという大きな高圧管の埋設にあたり、事前にガス管や水道管など、既存の埋設物を移設する必要があり、また、低圧管や中圧管の敷設工事も並行して行わなくてはならない。タイトなスケジュールの中、ガス工事の日程や工事作業スペースの確保が難しく、関係各社との調整を重ねた。都市ガスの橋梁添架管や共同溝の工事は道路開通後に着工することへ計画変更となったため、近隣地域との調整も振り出しに戻り、地域自治会や地域業者への工事内容の説明に時間を要した。

工事現場では、初めての高圧管敷設工事に驚くことや苦労も多々あった。ガス管の熱応力を吸収するためのループ管の大きさには目を奪われた。共同溝のガス管敷設では、長さ9m・重さ1tのガス管を運んで溶接するのにもひと苦労だった。

夜間工事状況 交通量の多いメイン道路では夜間で作業しています。
配管運搬状況 作業性向上のため今回は配管移動用門型を作成しました。
配管溶接作業 溶接で接続、mm単位の精度が必要となります。

6工事完了

Ⅰ期工事は太田川放水路のシールド工事を除く区間で2016年11月に、Ⅲ期工事は2016年12月に完了した。残る太田川放水路シールド工事は、2019年度に完了の予定だ。

7さらなるインフラ整備に受けて

「広島湾岸幹線」Ⅱ期工事を検討・施工するとともに、廿日市工場~佐伯区のⅢ期延伸工事の計画も進めていく。また、当プロジェクトと並行して2013年より行っていた東広島市への幹線延伸も、施工を終えた。今後も、天然ガス普及拡大に向けたインフラ整備を進めていく予定だ。

8プロジェクトメンバー

工事監督としての業務を教えて下さい。

供給設備部 導管建設グループ 枇杷友 啓郎

広島ガスは工事全体の設計や施工(工程、品質、安全)管理を行い、現場工事を各工事会社に発注します。工程管理においては道路工事に合わせて各工事会社の工程を役所へ申請し、現場では他工事業者との調整のため打合せを行います。そういった関係各所との調整が、工事監督としての主な業務となりました。その他にも、高圧幹線に使用する材料は全て特注品のため、材料や溶接施工等の確認検査といった品質管理も行いますし、安全な道路工事のために交通規制の協議、申請も行います。また、工事箇所近隣地域への説明や調整など、きめ細かい対応も求められました。

供給設備部 導管建設グループ 枇杷友 啓郎

当プロジェクトで特に苦労したことは?

「広島南道路」完成前の工程会議には、かなりの時間を要しました。今回の工事は「広島南道路」の整備と並行して行うため、道路工事に関わる関係者や、共同溝に入る水道や電力など、様々な関係各所との工程調整が大変でした。‘道路建設工事に併せた導管網の設置工事’と聞くと、工程はシンプルで調整は容易かと思われるかもしれませんが、実は、道路建設と並行する工事や作業は20以上もある、複雑なものです。全体会議や個別会議など、毎週複数回の会議を重ねて調整を行いました。各社とも工事工程はタイトになる中、ガス工事の日程が決まるとすぐに工事業者に手配する…といったことの積み重ねでした。

工事体制(チーム)との関わりは?

私が高圧導管の工事監督を担当するのは、当工事が初めてでした。低圧や中圧導管の工事監督を経験したことがあるとはいえ、高圧導管の建設に関する業務は、初めてのことばかりです。担当する前は、ベテランの先輩方に「俺たちが支えるから大丈夫。安心してやれ!」と言われていましたが、3カ月後には二人とも異動等で離れてしまいました。工事計画の大筋は決まっていても細かいことは何も決まっておらず、全て手探り。周囲のメンバーやベテランの工事業者にも助けていただき、何とか乗り切ってきました。毎日の工事工程なども含めて、関係者とはよく話をしていたと思います。小さな失敗と反省と改善を繰り返しながら、報告・連絡・相談の重要性を改めて感じました。

今回の経験を、今後どのように活かしたいですか。今後の目標は?

当工事を通じて、橋梁工事や共同溝、推進工事など、様々な工法や現場管理を経験することができました。これからはどんな工事がやってきても大丈夫、自信をもって取り組めると思います。こうした大きなプロジェクトはなかなか経験できることではないため、今後は次の世代にどう引き継ぐかが、大切なミッションになるでしょう。私はⅠ期工事の立ち上げからずっと携わってきましたので、ひとまずⅠ期工事完了まで、残る工事全てをやり遂げたいと思っています。そして、「広島湾岸幹線工事プロジェクト」Ⅱ期工事に着手する際には、ぜひ若い世代に工事監督を担当してもらい、私は今回の経験を活かして、その手助けをしたいと思います。

枇杷友
完成した江波大橋左岸にて。頭上の橋桁の中にガス管を設置している。