広島ガスの仕事 :
広島湾岸幹線新設工事

広島湾岸幹線新設工事

※内容は2019年7月現在のものです。

 「広島湾岸幹線」は、都市ガスの将来的な需要拡大や長期安定供給の要を担うもので、敷設場所は広島市西区商工センターから中区吉島までの総延長約7,300m【Ⅰ期工事】と、広島市中区吉島から南区皆実町までの総延長約4,200m【Ⅱ期工事(1-3工区)】、および当社廿日市工場から広島市西区商工センターまでの総延長約5,500m【Ⅲ期工事(1-2工区)】である。新設する導管網は、設計圧力7MPa・口径400mmの当社初の高圧幹線であり、将来的には廿日市工場と広島市内を高圧幹線で結び、広島の発展をエネルギー供給面から支える重要なインフラ整備となる。

【工事全景地図】

 高圧幹線「広島湾岸幹線」のルートは、国・市・広島高速道路公社の三者が新たに施工する「広島南道路」沿線とし、その道路施工計画に合わせて準備が進められた。Ⅰ期工事は2013年2月着工し、太田川シールド工事部以外は完成している。また、Ⅱ期工事の1・3工区は、2018年3月着工しており、2工区においては現在設計中である。Ⅲ期1工区は、廿日市草津線の施工計画に合わせて行い2015年12月着工して2016年12月に完成した。またⅢ期2工区においては、計画橋梁建設完了に合わせて完成予定である。

 供給設備部導管建設グループ設計担当の佐々木康哲と同グループ建設担当の松浦純の2名で広島湾岸幹線のプロジェクトを進めている。両名とも初めて幹線整備に携わることとなった。佐々木は入社以来、導管の保安業務(維持管理)を経験し設計担当となって6年目、松浦も導管の保安業務や熱量変更業務を経験し建設担当となって7年目で、ともに経験値としては十分であるが、不安な要素については先輩社員のサポートを得て挑戦することになった。工事を安全・確実に進めるためには両者のコミュニケーションが大切であり、日々の意思疎通を心がけている。

 施工箇所は道路埋設部だけではなく、河川をどう渡すのか、また、同ルートで設置工事を進める電力会社や水道局等と共同埋設する箇所等も検討しなくてはならない。事前調査や設計の段階から困難の連続で、関係各社との調整に相当な時間を要した。道路埋設部以外にも、河川部推進工事4か所、軌道横断推進箇所1か所、橋梁添架管工事3か所、共同構内工事2か所、シールド工事2か所など、さまざまな施工方法で検討・採用し進めている。
また、高圧幹線工事は、仕様書確認、材料検査、施工管理など通常のガス工事以上に基準がシビアであり、計画段階から工事着工後も、承認事項の対応に追われた。

湾岸幹線Ⅰ期とIII期の地図
  • 1埋設位置決定のため試掘を繰り返し行い、広島県・広島市・他埋設事業者などの立会のもと管路を決定。

  • 2湾岸幹線Ⅰ期スタート部分。長さ12mのパイプ2本を地上で溶接し、掘削溝に吊り降ろして埋設。パイプ2本で重さ2.5tに!

  • 3幅が比較的狭い河川は推進工法で横断。クレーンで吊っている掘削用刃先で直径3m深さ13.5mの円筒形の立坑を両岸に掘削する。

  • 4水道局・電力会社と共同のシールド工事で、太田川を横断。左岸立坑用地に各敷材を配置。

  • 5江波共同溝内での配管作業。共同溝は国道の下に設置され、配管は溝内にパイプを運び溶接してつくりあげる。国土交通省の担当者との綿密な打合せで作業手順を決定する。

  • 6軌道横断部は、推進区間約50mで立坑5mを両側に設置し、夜間工事にて施工を行った。

 口径400mmという大きな高圧管の埋設にあたり、事前にガス管や水道管など、既存の埋設物を移設する必要があり、また、低圧管や中圧管の敷設工事も並行して行わなくてはならない。タイトなスケジュールの中、ガス工事の日程や工事作業スペースの確保が難しく、関係各社との調整を重ねた。都市ガスの橋梁添架管や共同溝の工事は道路開通後に着工することへ計画変更となったため、近隣地域との調整も振り出しに戻り、地域自治会や地域業者への工事内容の説明に時間を要した。

工事現場では、初めての高圧管敷設工事に驚くことや苦労も多々あった。ガス管の熱応力を吸収するためのループ管の大きさには目を奪われた。共同溝のガス管敷設では、長さ9m・重さ1tのガス管を運んで溶接するのにもひと苦労だった。
夜間工事状況 交通量の多いメイン道路では夜間で作業しています。
配管運搬状況 作業性向上のため今回は配管移動用門型を作成しました。
配管溶接作業 溶接で接続、mm単位の精度が必要となります。

 Ⅰ期工事は太田川放水路のシールド工事が現在進められており、それ以外の区間が2016年11月、Ⅲ期工事の1工区は2016年12月に完了した。Ⅱ期工事の1・3工区は2019年度には完了する予定である。

 Ⅱ期工事の2工区は、元安川のシールド工事となり着工に向けて設計・協議を進めている。また、Ⅲ期工事の2工区は、計画橋梁の建設完了に合わせて計画を進めており、それ以外の埋設工事も順次開始出来るように進めていく。今後も天然ガス普及拡大に向けた幹線整備を計画・検討していく予定だ。

供給設備部 松浦 純
供給設備部(建設担当)
松浦 純
供給設備部 佐々木 康哲
供給設備部(設計担当)
佐々木 康哲

現在の仕事について教えてください。

佐々木

 昨年度より本格的に幹線導管の設計を担当しております。設計業務はガス管布設のルート検討・圧力解析・積算・工事のための許可取得までが主な内容となります。その中でも特に、河川・軌道横断等の通常の開削工法では施工できない特殊部の工法検討や関係箇所との協議・調整、積算業務を任されております。今一番大きな現場は水道局・電力会社との共同事業である太田川放水路のシールド工事です。

松浦

 広島市内に埋設されているガス管の工事(新設・入替・増強など)を建設担当のメンバー6名が現場監督として活動しています。主な内容は、計画された工事における施工管理・現場管理・安全管理などの監督業務です。現場で問題が発生すれば、その問題に対し諸官庁や警察署に相談しながら調整を行い、解決に向け取り組んでいます。今回、広島湾岸幹線工事の担当になり、初めて経験する工事も多い中、今までの経験を活かしながら日々頑張っています。

印象に残った仕事はありますか?

佐々木

 私は軌道横断部が難所でした。基本設計から先方との協議、協定締結から施工まで約3年がかりでした。なるべく現場に迷惑が掛からないよう検討したのですが…。

松浦

 軌道下の推進工事という事でかなり神経を使いました。電車を止めたら大変なことになるので日々の工程調整が大変でした。しかも昔と道路の形態が変わっており、工事進捗がなかなか伸びず…。

佐々木

 夜間の限られた時間で試掘・調査堀を追加して頂き、工期が迫っているなか急遽推進マシンを変更してもらったり…色々対応して頂き助かりました!

松浦

 それでも大きなトラブルなく施工が完了してほんとによかった!2018年は西日本豪雨や大阪地震・北海道地震など自然災害が多かった年で、災害の応援により工事が止まった期間もありましたが、何とか予定通り進めることができてよかった!

就活生にメッセージをお願いします。

佐々木

 当社は設計から施工管理まで自社で行うため様々な業務に携われます。当然一人の力には限界があるので各々が担当を持ち、工事完成を目指し協力しています。設計コンサルやゼネコンに業務を依頼することもあり、土木工学科を出て社会人十数年になりますが思わぬところで旧友と再会し一緒に仕事をすることもあります。人と人が繋がって一つのプロジェクトを完成させたときの達成感はたまりません。とてもやりがいのある会社ですよ。

松浦

 広島ガスは、ガスの製造部門・供給部門・営業部門・広報などすべての業務を社員が行っています。私は供給部門の色々な部署を経験したことで、部門ごとにたくさんの同期や先輩方、後輩と繋がりを持つことができました。おかげで業務においては、他部門にたくさんサポートしてもらっています。社風はとても開けた環境の会社だと思いますよ。

供給設備部 佐々木・松浦